ノルウェイの森 下 (講談社文庫)村上春樹 ¥ 540 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
ノルウェイの森 下 (講談... | |
| ノルウェイの森は はたして 恋愛小説なのだろうか? 本書のコピーは「100%の恋愛小説です」というものだ。このコピー自体も村上が作ったことは有名だ。僕らはは 本書を恋愛小説として認識し、恋愛小説として読んだわけだが 一歩引いてみて いったい本書は本当に恋愛小説なのか 今ではよく分からない。 今振り返ってみると 本書では本当に人が死んでいく。死んでいく理由も恋愛が原因では全くない。一人一人が 自分の中に「地獄」を抱え、その「地獄」の為に滅んでいく話だと言っても良い。 そのような中で 生きている間は肩を寄せ合って生きていく姿には今なお感銘を受けるが 果たして その姿が「恋愛」なのだろうかと考えてしまうからだ。 本書であまた語られる「恋愛」の中で 一番 生気があるのは おそらく「僕」と「緑」との恋愛だろう。本書の中で唯一「死の匂いがしない」登場人物は緑だが 彼女と「僕」との恋愛は生き生きしている。 但し 村上は その「恋愛」ですら 最後の場面で 結末を放り出している。その結末と 本書の冒頭の飛行機の場面を重ねると 既に 不吉な雰囲気が色濃いのだ。 本当に 本書は「恋愛... | ||
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)村上春樹 ¥ 540 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
ノルウェイの森 上 (講談... | |
| 今までほとんどといっていいほど読書をする習慣はありませんでしたが(職業に必要な本を除き)、たまたま村上作品に出会いこの本を読んでから読書の習慣がつきました。 いろいろな作家の作品にも手を出そうとしていますが、なかなかいい作家が見つからないしだいです。 今度映画化されるとあって再度読み返している最中です。村上春樹の名を知らしめた1987年のベストセラーです。出版当時、世の中がどうしてこんなに騒いでいるのか、実は不思議に思った記憶があります。村上氏はそれまでも「風の歌を聴け」や「羊をめぐる冒険」、「世界の終わり・・」など力のある長編、それに短編小説集もいくつか発表しており、その才能は充分に評価されていると(勝手に)認識しており、その延長線上にある「ノルウェーの森」ばかりがどうしてこんなに取り上げられるのだろうか、と思ったものでした。 今、読み返すとそれまでの作品に比べてリアリティーが増しており、その分かり易さと装丁の良さが当時売れた理由なのかなと思います。本質的には青春小説。20才前後の大人になりかけた主人公の感受性の高さと危うさ、多くの人がシンパシーを感じるこの時期を上手く描きまし... | ||
グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)スコットフィッツジェラルド 村上春樹 ¥ 861 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
グレート・ギャツビー (村... | |
| なにしろ80年前の小説です。村上さんはよく「翻訳の賞味期限」をいい、現代語で訳文を書くことに努力され、本書も、たとえば会話で語り手が相槌をうつ場合「そうなんだ」と訳す箇所がありますが肯定文なのか相槌なのか分かりにくかったりします。わたしには大貫訳の方が1920年代風でしっくりきます。もっとも、新たに翻訳するということは、すなわち現代風の言葉使いにするということなのでしょうけど。うーん、村上さんの翻訳は、カポーティとカーヴァーがもっともマッチしていると思いますし、好きです。サリンジャーのケースも村上訳としてはあまり評価できなにのですが、やはり、原作の年代がもっと新しい方が読んでいて違和感を感じません。 大学生の頃「華麗なるギャッツビー」を読んだ記憶があります。当時、村上春 樹の「ノルウェイの森」を読み終わった後で、その主人公と先輩の長沢さんがと もに読んでいて、長沢さんが「華麗なるギャッツビーを読むような奴なら友達に なれそうだ。」といったセリフが印象的でした。 今回、映画を観終わった後、この村上訳の「グレートギャッツビー」を読みま した。学生の頃読んだ時は、さしたる印象もなく「何... | ||
13歳のハローワーク村上龍 ¥ 2,730 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
13歳のハローワーク | |
| まず、この本に対する様々な批判意見は、視野が狭いものが大半のように思える。 実際の職業にまつわる悲喜こもごもや詳細を知りたいのであれば、専門書を読めばいい。 タイトルで明示されているように、「13歳のハローワークは」は数多の職業への「見出し」だ。 村上龍の書く職業紹介は、媚びていないし、とてもそっけない。文章量も決して多くない。 そこがこの本のコンセプトに準じていると感じる。 一人の作者の書くものだから、書かれていない側面も沢山あるだろうし、先入観だってあるだろう。けれど別にいいのである。 要は読み手に想像力を喚起させれば勝ち、の本なのだ。 私は現在20歳で、数年前に親にこの本を贈られた。 はまのゆかの大づかみに空気感を捉えたイラスト、シンプルな装丁にシンプルな文言。断定調の職業紹介はまず読み物としてとても面白かったし、必要以上な楽観論や悲観論が無いのも良かった。 まだ見ぬ職業に就いている自分を想像しては暗澹たる気持ちになったり、大丈夫そうだと考えたりした。 このような本の場合、綿密な取材に基づかなくてもいいのだ。 見出しでしかないのだからwikipedia丸写しでもok。... | ||
走ることについて語るときに僕の語ること村上春樹 ¥ 1,500 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
走ることについて語るときに... | |
| 村上春樹が実質的に日本に紹介した米国の作家、レイモンド・カーヴァーの小説にして村上氏本人の手になる翻訳作品「愛について語るときに我々の語ること」が下敷きになっている書名である。が、中身はまるで無関係な村上氏のエッセイ。 村上氏の趣味を超えたライフワークとも言ってよい、マラソンやトライアスロンなど「走ること」を軸に、ランナーとしての足跡(といってもレースの実績ではなく内面的な)と小説家村上春樹の内面を、行きつ戻りつしながら極めて内省的に記したエッセイである。 「極めて」という言葉を使ったのは、これまでの村上氏のエッセイ、旅行記や音楽に関するものに比べて、という意味である。 これらを扱ったエッセイでは、村上氏は客体(旅する地の風物や音楽、音楽家など)の描写や論評を通して自らを語っているが、本書では「走る」というある意味極めて自己完結的で内省的な行為を語ることで、自らそのものを語っている。というか語らざるを得ない題材なのである。「走る」ということは。 もし、読者としてのあなたが、村上氏のこれまでのエッセイようなノリを本書に期待しているとすれば、いささか「重たく」感じることだろう。... | ||
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)村上春樹 ¥ 620 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
世界の終りとハードボイルド... | |
| 反論もいくらでもあろうが 僕は本作が 現時点での村上の長編小説での最高傑作だと思う。その意味では本書を書きあげてから20年以上 村上は本書を超える作品を出せていないということだ。 まず第一に圧倒的な物語がある。近未来的な「現在」を舞台とした筋と、「世界の終り」の国で語られる物語を同時並行して進めていく腕力が素晴らしい。その二つの世界を巧みに文体を変えながら リアリティーを持たせて書いていくことは紛れもなく今までの日本にもなかったような「豪腕」である。 そうして その二つの物語が 最後に交差する瞬間は 一種の謎解き以上の美しさがあり それまで 手探りで読まされてきた読者に 「大きな閉塞感を伴った解放感」を与える。 「大きな閉塞感を伴った開放感」とは 幾分トリッキーな表現かもしれない。但し この作品の底に流れる「閉塞感」が 本作の第二の持ち味だ。 村上は その早い段階から「閉塞感」をテーマにした作品を書いてきたと思う。初めは 洒落た都会小説の底に「閉塞感」を忍び込ませて隠し味とする向きが強かったが 本作に来て 村上は 正面から「閉塞感」を書いたと僕は思う。「世界の終り」は... | ||
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)村上春樹 ¥ 580 通常24時間以内発送 ★★★★★ |
世界の終りとハードボイルド... | |
| 前々からこの作品の続編が噂されている。著者のファンである私もにわかに期待している。にわかに期待し続けてもう10年になるだろうか。後の長編ダンス・ダンス・ダンスで主人公である僕が、ある朝目覚めた首都高沿いの住居の一室で僕の居る場所の確認を再認識する場面があるが、その後に続く村上春樹作品に伏線として登場する〈私〉或いは〈僕〉の影のような存続性を垣間見せるところがあるように感じられる。 作品としてはふたつのパラレルワールドが同時進行する現実とも異世界ともどこかで繋がっていても決して不思議でないふたつの異なる世界で展開される。〔世界の終わり〕では、受動的な世界に居る〈僕〉は、分身である〈影〉を他界に送り出した後で〈彼女〉と共に新たな生活を選択する。〔ハードボイルドワンダーランド〕の世界では能動的な現世の中で半永久的な眠りに付く〈私〉は、目覚めることがあるとすれば果して本当は何時誰にどのように目覚められるのだろうか。ストーリーテリング溢れる、いろいろと想像力を掻き立てられる作品だと思う。 ふたつの世界の主人公である〈僕〉と〈私〉は巡り会うこと或いはひとつになることが出来るのか。果たしてそうなる... | ||
海辺のカフカ (下) (新潮文庫)村上春樹 ¥ 780 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
海辺のカフカ (下) (新... | |
| カーネルって誰。 石ってなに。。。 読まなきゃよかった、正直にそう思う。 ものすごく読みにくかった。 現実を非現実の世界が全く融合している気がしない。 納得いきません。 実態や真意を汲み取ろうとすることは非常に困難だった。合点のいかないことや説明のつかないことがあまりにも多すぎるからだ。でもこの本を読むに当たって、そんなことに力を注ぐことはあまり意味を持たないのかもしれない。メッセージ性より世界観。奇抜な登場人物や出来事が織り成す不条理な世界にグイグイ引き込まれます。とても美しくソフトで平易な文体・文章で不可解な出来事も当たり前に受け入れることができるので、みるみる非現実的な浮遊状態の世界にのめりこんでしまう。 同著者の作品ではダンス・ダンス・ダンスの世界観、ノルウェイの森の主人公の方が好み。面白い本か?と聞かれれば、面白い本と答えられます。 でも、もう一度読みますか?と聞かれると、答えに窮します。 この作家の本を読んでみたいと思っている「春樹入門者」 の人には「世界の終わりと〜」とあわせておすすめの本です。 平易で、読みやすい文章なので、長さの割には楽に読めます。 感想は、人... | ||
旅のラゴス (新潮文庫)筒井康隆 ¥ 460 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
旅のラゴス (新潮文庫) | |
| 一人の男の壮大な旅を描いた物語。 あるいは題名に則せば、旅をするラゴスを描いた作品と言ったほうが適切かもしれません。 世界観、人物、展開どれをとっても秀逸で、ラゴスの生き様に瞬く間に引き込まれていきました。 読後に「読んでよかったなぁ」と思える数少ない作品の一つです。 SF的な設定は簡潔であるため、SFに抵抗がある方や、SF初心者の方にもおすすめできる作品です。 世界1000万部の大ベストセラーといわれるパウロ・コエーリョの『アルケミスト』と似たような不思議な雰囲気を漂わせた名作。 どちらも主人公が愛する人を心残りに思いながらも旅をし続けて歳を重ねていくという点で非常に似通っているのだが、 『アルケミスト』がやや宗教的というかスピリチュアル的な要素が強いためやや説教じみた部分を感じるのに対して 『旅のラゴス』はややSF的であるが癖がなく読みやすい。 そして人生についてより深く考えさせられるのも『旅のラゴス』の方である。 ただ、もしご興味があれば『アルケミスト』と読み比べてみると面白いと思う。「人生そのものが旅である」と書かれた文章に触れたりする事がある。 非常に漠然と抽... | ||
風花川上弘美 ¥ 1,470 通常4〜5日以内に発送 ★★★★ |
風花 | |
| 主人公の決断力のなさには最後までイライラさせられっぱなし。夫に浮気されながらも年の近い叔父と旅行したり年下の大学生と恋人まがいの付き合いをしたり。こんなにふらふらしてていいのか?友達にこんな女性がいたら絶対に付き合いは疎遠になるな、と最後まで不愉快な存在の主人公でした。かなり期待して購入しただけにあまりのつまらなさに非常に残念でなりません。夫の浮気が発覚したというのに、なぜかゆらゆらとのんびり生きている主人公の「のゆり」。 「絶対別れたくない」なんて言ってるわりに、彼女が夫をそれほど深く愛しているようには感じない。 年の近い叔父と仲が良く、二人だけで温泉旅行に行ったり、 年下の男の子と親しくなって、お茶したりホテルに誘われたり、 女性から見たら「なんなの〜!この女!!」みたいな主人公。 読者はこの事態に同時に普段通りの生活を送るのゆりにイライラするでしょう。 でも、現実ってこんなものなのかも・・・。 どうすることもできなくて、前にも後ろにも進めなくて、 ただ「うまくいってた頃のように戻りたい」と思いながら時間だけが過ぎていく。 別れって劇的じゃなく、こんなふうに静かに受け入れていく... | ||
カンブリア宮殿 村上龍×経済人II村上龍 ¥ 1,680 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
カンブリア宮殿 村上龍×経... | |
| 自分にググっときた経営者について。 ・くらコーポレーション:田中邦彦「3つの喜び・・・」 ・吉野家:安部修仁「自分に向くものはもっと他にあるのはずだと思って決められないでいる人というのは・・・」 ・ソニー:出井伸之日本は半導体協定で、アメリカに「官民一緒になってはいけない」と言われたから、・・・ ・ジュンク堂:工藤恭孝「〜ここでやっと見つけた」 龍氏「知識を得ることは刺激的だと・・・」 ・バンダイナムコ:高須武男「なぜ経営統合を選んだかというと・・・」 ・ローソン:新浪剛史「セブンーイレブンの真似をすればいいじゃないかと・・・・」 ・テンプスタッフ:篠原欣子「〜で、あの人はどこから来るんですか」と聞きましたら・・・」 など。番組の放送内容と、あと村上龍さんの書き下ろし「RYOU'S EYE」が秀逸です。 そのほかの社長さんも語りが面白くためになるなと思いました。テレビより面白い?○読み始めたきっかけ 元々、村上龍の経済関係のエッセイが好きで、1を読んでこちらの2も興味がありました。 ○心に残る言葉 P.120 教育を英語でエデュケーションというでしょう。エデュケーションの語... | ||
海辺のカフカ (上) (新潮文庫)村上春樹 ¥ 740 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
海辺のカフカ (上) (新... | |
| 「15歳」の少年が大人になることをテーマにした小説。文字を無くした男、エディプス・コンプレックス(=「父殺し」)、夏目漱石論(「三四郎」と「坑夫」の比較論)など、その他色々な文学的モチーフが重ねられるつつも、メイン・モチーフとしては、残酷な「世界」「他者」と少年がいかに向き合うようになるかが、いつも通り内向的で非現実的なストーリーで語られる。 明らかに、発表当時に不可解で血みどろな事件を色々と起こしていた「壊れる10代」をターゲットにして「大人になること」を一生懸命に語ろうとした作品なのだが、不幸なことにこの作品は実際に壊れている10代よりも、「大人になりきれない自分」に若干ナルシスティックな魅力を感じる20代〜40代の読み手に熱狂的に支持されたのだった。もちろん、そんな読み手達を相手にして「大人になること」を語る意義は十分にあるが、一番読んでほしい読者層に届かなかったことは、作者とこの作品の不幸な点だろうと思う。 この「ブンガク的」で居心地の良い内向的世界が、本来「大人」であるべき年齢層の日本人に受ける状況は決して健康的ではない。(村上作品の効用の1つには、「大人であるこ... | ||
カンブリア宮殿 村上龍×経済人村上龍 ¥ 1,680 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
カンブリア宮殿 村上龍×経... | |
| 21人の経済人が、村上龍と対談した内容をまとめた本。 一人につき、15Pほどだろうか。 それぞれの人の後についている、村上氏の解説がとてもよかった。 もちろん対談のほうも読み応えがある。読んでいて飽きない。筆致も無理に盛り上げるでもなく、泣かせるでもなく、テレビの淡々とした感じをよく表現できていると思った。 何かを成し遂げた人たちの考え方や、生き方はとても参考になる。もちろん成功してきた人なので、それぞれ個性的なのだが、全ての人に感じる潔さというか、綺麗な感触というか、静謐さというか、というのが、自分にとっては大変勉強になった。それはやはり大きな視点から育まれるものなのだろう。 特にSBIHの北尾氏が良かった。 番組のファンにも、そうでなくてもぜひ読んでみて欲しい。2も読んでみようと思っている。テレビ東京で放映されている「カンブリア宮殿」で村上龍氏が様々な経済人と対談した内容を本として焼きなおしたもの。対談のやりとりが主な内容だが、ゲストのプロフィールや対談後の村上氏のコメントが付け加えられている。 本書(およびテレビの「カンブリア宮殿」)では、大企業のみならず最近話題のベンチャー... | ||
ティファニーで朝食をトルーマン・カポーティ ¥ 1,260 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
ティファニーで朝食を | |
| カポーティの短編の巧みさと独特の雰囲気に目を見張った僕は、改めて「ティファニー」をオリジナルテキストと共に読み返してみよう、と思っていた矢先に、本書が出版された。 さっそく買ってきて、1968年にやはり新潮社から出版された龍口直太郎訳「ティファニー」と読み比べてみた。 龍口訳も本書も、表題作以外に全く同じ短編が3作収められている。「花盛りの家」「ダイアモンドのギター」「クリスマスの思い出」である。 これらを読み比べて改めて感じたのは、村上さんがかねがねおっしゃっている「翻訳の賞味期限」ということ。 原作が名著と呼ばれるものであればオリジナルテキストに賞味期限はないが、翻訳の方はそれが訳された時代々々の社会を反映したコトバで訳されているためか、そこにどうしても賞味期限といったものが生じると。 本書と龍口訳を読み比べて、少なからずそれを感じた。 龍口氏は、1903年生まれ。「戦後日本に米文学を紹介した」とあっていわば「大御所」である。 その龍口訳のある意味古色蒼然たる訳文は、地の文においては格調高くカッコいいのだが会話文においてはなんとも違和感が出てくる。 ホリー・ゴライトリーやその友人... | ||
遠い太鼓 (講談社文庫)村上春樹 ¥ 840 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
遠い太鼓 (講談社文庫) | |
| 海外のことをこんな目線で おもしろおかしく 捉えられるのがすごいと思います。 なおかつ、読んだあと旅に出たくなる一冊。人気作家、村上春樹の旅行記です。奥様と日本を離れ、ギリシア、イタリアに滞在した3年間の記録です。観光地等ではなく、現地でアパートを借りての生活の記録です。ジョギングをしたり、買い物に行ったり、レストランやカフェで食事をしたりです。ランチア・デルタを買い、ドライブをしたりしています。当然、故障のエピソードもあります。滞在中、翻訳をしたり、ノルウェイの森を書きあげたりしています。とうてい、普通の人にはできない外国体験ですが、作家の感性が伝わり、面白い旅行記です。最初、著者も言うように、時差ボケなのか、面白くないのですが、だんだん、面白みをますので、最初で、つまらないと思い、投げ出さずに、最後まで読むのをお勧めします。こういうところ、演出なのかどうかわかりませんが、著者はすごいなあと思います。とにかく楽しくて面白い。 何がどうこう言うより、とにかく面白い。 何が面白いのかよく分からないけれど、読後感はとても良い。 村上氏のエッセイが嫌いじゃない方にはお勧めです。日常生活に疲... | ||
風の歌を聴け (講談社文庫)村上春樹 ¥ 400 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
風の歌を聴け (講談社文庫) | |
| どうも村上氏の作品は評そうとすると、つまり言葉にすると嘘になってしまうようなところがあって、こうして書くのはなかなか難しいところがあると思います。いわく言葉にし難い魅力と、特に古い作品になると個人の思い入れが重なり、普通の人にはこの感性を客観化し辛いせいなのでしょう(自分がそうです)。この後に続く「1973年のピンボール」や「ノルウェーの森」などそっと心にしまっておきたい、そんな作品の多い作家のような気がします。 1979年刊行の表記作ですが、デビュー作として歴史もあるだけに(といっても30年くらいですが)、同時代で作品に触れた世代にとっては「心にしまっておきたい」感が一段と強いものなのではないでしょうか(私はもう少しあとの世代)。村上氏自身は、ジャズ喫茶を経営するかたわらの日々、ある日ヤクルトの試合を見ていた神宮球場で突然、神の啓示を受けこの作品に着手したと述べており、この次の「1973年のピンボール」まではどことなく腰の定まらない執筆だった、と述懐していたのをどこかで読んだことがあります。まあ腰の定まらないまま、これほどのものが書けるのも凄いと思いますが、高校時代から恐ろしく文... | ||
ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)村上春樹 ¥ 580 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
ねじまき鳥クロニクル〈第2... | |
| この話、全然終らない。 でも実はこの作品、94年に第2巻まで発売され、2巻のエンドロールには「続」ではなく、「完」が記されていた。つまり、2巻完結の長編小説として世に送り出されたわけだ。 ところが翌年の夏に、予期せぬ形で第3部が刊行された。 「予期せぬ形で」とは言っても、第2部を読了した今思うことは「えっ?これで終わり?謎だらけなんですけどー」って感じだし、続編が刊行されてることは何の違和感もない。 この謎だらけの物語がどう収束するのか、僕は期待に胸を膨らませ、第3部に移る。 最後に第2部で印象に残った文章を記して終ろう。 「加納クレタが僕に向かって微笑みかけたのはそれが初めてだった。彼女が笑うと、歴史が少しだけ正しい方向に向けて進み始めたような気がした。」 笠原メイ、加納クレタ。この二人の女性との絶妙な距離感での関係を中心に、一部では何がどうなっているのか解らなかった主人公が、自分のすべきことを見つけ出すまでの第二部です。 笠原メイの「あの女の人を抱いたから、もう私には用がなくなったってことなの?」というキビシイ言葉が妙に心に刺さりました。 夏... | ||
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)村上春樹 ¥ 740 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
ねじまき鳥クロニクル〈第3... | |
| 日常の中に潜む些細な出来事が実は深い意味を持っている。その意味に気づくことは幸せなのだろうか?運命付けられているかのように受け入れるしかないいくつかの出来事。 透明な悪意に満ちた世界にパステル調の色彩のヴェールで紗をかける。そして人の心の奥底にそっとメスを入れる。独自の世界観を大上段に構えるわけではなく、静かに語りかけるように説き続ける筆者。 今、村上春樹を語る時に使われている此れらの修辞は、良きに付け悪しきに付けこの作品にこそ相応しいと思う。 しかし、いかんせん構成、展開ともに凡庸で最後まで読み通した充実感が無い。部分的には印象的なエピソードが多いだけに、はっきり言って途中で読むのを止めても読後感は大差無いかもしれない。 蛇足になるが、主人公がひたすらカタカナフードを飲み食いしているだけといった印象が残る。期待感のない小説だ。ノーベル賞をとっても驚きはしないからだ。また読みおえた人を不幸にする小説だ。これよりよいものにめぐりあうことは今後うないと思えるからだ。それ以外けなしようがないほどの大傑作。これ一冊で村上春樹の偉大さが十分わかる。 奇妙な鳥の声に気づくと間もなく愛猫が... | ||
地球のはぐれ方―東京するめクラブ (文春文庫 (む5-8))村上春樹 吉本由美 都築響一 ¥ 1,050 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
地球のはぐれ方―東京するめ... | |
| ああ、懐かしい、この感覚。もう二十年以上前だろか、椎名誠が日本、世界のあちこちを旅して回った、いわゆる旅ルポが流行った。よく読んだ。東ケト会、東日本何でも蹴飛ばす会だったかな? シーナと彼の取り巻き連がどこへでも思いつきで出かけて行って、面白可笑しくルポをするというもの。『日本細末端真実紀行』、懐かしい。そういうテイストがこの本に受け継がれている。のかどうか知らないが、そんなノリである。面白いと思う人には面白いだろうけれど、どこが面白いのかわからないという人には、分からない。ハマるかどうかだな。基本的には旅ルポは好きなので、読むほうだ。やはり出色は「名古屋」「熱海」「ハワイ」か。村上氏、吉本氏、都築氏三氏の視点が食べ物のなんじゃこりゃトリヴィアルからうらぶれた温泉地の再開発的なデザイン提案にまで及ぶところはなかなかの観光論にもなっている。2002年から2004年の雑誌の連載なので2008年の今どうなのかはわからない。こういうのは旬があるから仕方がない。うむ、うむ、ふふ、ふふ、あーそうか、時々笑いを入れながら読む。でも最後の「サハリン」「清里」あたりになるとだんだんテンション下がり気... | ||
沈黙 (新潮文庫)遠藤周作 ¥ 540 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
沈黙 (新潮文庫) | |
| 重い。重いです。実在の人物をモデルに書かれた小説。 時は江戸時代、島原の乱が鎮圧されて間もない頃。日本に潜入したポルトガル司祭ロドリゴは背教を迫られる… 私は171ページと191ページの言葉が印象的でした。気になった人は読んでみよう!(笑) キチジローがキーマンです。 本書と対をなす『死海のほとり』を読むと理解が深まる。主人公と一体になって、読み手のわたしも苦しんだ。 読後、10年以上が経過したのに、 この小説を思い出すと、いまでも胸が痛む。 こういう作品を、真の名作と呼ぶのだと思う。 キリスト教弾圧下におかれた時代のお話。神を崇めて命を落とす人々。遠藤氏はクリスチャンであり、踏み絵については他の作品でもよく触れておられる。 どうしょうもない中で一筋の光を見出す点に人間の尊さがあると訴える作品。神の沈黙とは、本来絶望か?ご加護か・・・。悲惨な経験の元にも神を信じる人々の信念と絶対的な忠誠心。いつまで沈黙を続けるのかと、最後は涙がとまならない。 私はこの作品に出会ったことが、生きていて良かったとも思えるほどの経験だった。それほどインパクトが強く脳裏から離れない。終始... | ||